埼玉県 歯科矯正について思うこと

日本銀行とはどんな銀行だろうか。 何と言ってもその特徴の第一は、日本で銀行券、すなわち、紙幣(お札)を合法的に発行できる唯一の機関であるという点である。
この銀行券は日本銀行券と呼ばれる。 みなさまは日本銀行が発行した紙幣の金額(壱万円や千円)の上に、「日本銀行券」と書かれていることを確認されたい。
日本銀行(以下、日銀と呼ぶ)は日本で唯一、合法的に銀行券を発行できる機関である。 日銀はこの特権を基礎にして、銀行間の貸借金利や銀行が日銀に預けている預金(日本銀行当座預金、略して、日銀当座預金)の量などをコントロールすることができる。
このコントロールが日銀の金融政策である。 日銀の金融政策によって、預金金利、銀行の企業貸出金利や住宅ローン金利、社債や国債などの債券の金利など、各種の金利、さらに、株価や地価などの資産の価格や為替レー卜が変化する。
こうした金利や資産価格や為替レートの変化は家計の消費や貯蓄、住宅投資や企業投資(機械などの購入)、輸出や輸入を変化させ、これらの変化により、生産、雇用量、失業率、国民の所得、物価なども変化する。 このように、金融政策はわたしたちの生活に大きな影響を及ぼす政策である。
例えば、日銀が利上げすれば、外貨預金をしている人は円高・外貨安による為替差損を被る可能性がある。 あるいは、住宅ローンを変動金利で借りている人は、変動金利が上昇するため、長期固定金利で借りたほうがよかったと後悔することになるかもしれない。
退職金を株式投資につぎ込んだ高齢者は株価が暴落して、老後の人生設計が根本から狂わされるかもしれない。 また、景気が悪くなって、職を失う人が出るかもしれない。
ところが、金融政策がわたしたちの生活にどのような経路を通じて、どのような影響をもたらすかはよく見えないため、国民は税負担が関係する財政政策ほどには、金融政策に関心がない。 株価や地価が暴落したり、円がドルに対して急騰したりしても、それらを金融政策と関係づけて理解する人はあまりいない。

それよりも、アメリカの政府高官が「これ以上のドル高は望ましくない」といったから、円が急騰し、ドルが急落したといった説明のほうが、普通の人にはわかりやすい。 1992年以降、日本経済は「失われた10年」といわれる、デフレ(物価の持続的下例えば、デフレになったのは、中国から安いモノが大量に輸入されたからだとか、ITなどの技術進歩のためであるといった説明のほうが分かりやすいであろう。
しかし、この説明では、日本同様に、あるいはそれ以上に中国から安いモノを輸入し、日本以上にIT革命が進んでいる国がデフレになっていないという事実を説明できない。 この問題はあとで説明するが、そこでの説明は「中国から安いモノが輸入されれば、日本の物価も下がる」という話ほどにはやさしくないであろう。
このように、多くの人にとって、自分たちの生活と日銀の金融政策の関係はよくわからない。 一般的には、「日銀の偉い人たちがやっているのだから、大丈夫だろう」と思われているのかもしれない。
おそらくそのためであろう。 2008年3月に、日銀の総裁選びをめぐって与野党が対立した際に、与党案に対して野党が反対したが、その反対理由は、「財務省OBだからダメ」とか「経済財政諮問会議で、構造改革を推進したからダメ」といったもので、「経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者」という日本銀行法に規定された人選の精神と相容れないものだった。
日銀の金融政策は総裁・副総裁と6名の審議委員の多数決によって決まる。 しかし、わたしは寡聞にして、審議委員に選ばれた人が初の記者会見で「デリバティブなんて知りませんが、これから勉強します」などと言っているにもかかわらず、新聞やテレビなどが、その審議委員が果たして「経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者」に該当するかどうかを記事にした、という話を聞いたことがない。
これは日本の新聞やテレビはだれが審議委員になるかにまったく興味がないか、あるいは、審議委員の能力を判断できるほどの知識を持っていないかのいずれかであることを示している。 本当にこんな状態で、日銀に金融政策を任せっきりにして大丈夫なのだろうか。
ここで検討しようとするのは、まさに、この疑問である。 この疑問に答えるために、ここでではまず、日銀で金融政策を決めている人はどんな人かを、米国の金融政策を決めている委員会のメンバーと比較しながら検討する。
この検討によって、日銀の金融政策は前例主義を原則とする東京大学法学部卒をトップとする官僚によって運営されていることが分かる。 次に、前例主義にのっとって伝統的金融政かし、日銀は1985年のプラザ合意(主要国の中央銀行が協調してドル安を誘導することに合意)以降、貨幣増加率重視の金融政策を放棄し、インフレ率をゼロ近辺に維持する、デフレを許容する金融政策に転換したと考えられる。

このゼロ・インフレ政策はデフレ不況をもたらすとともに、過度の円高をもたらし、日本の製造業の過度の海外移転を促し、産業の空洞化、地方経済の停滞を招くとともに、外需依存型経済をもたらした。 しかし、多くの人はこのデフレを伴った長期経済停滞の原因を日銀の金融政策と結びつけては考えないであろう。
むしろ、不良債権処理や構造改革の遅れに原因を求める話のほうが分かりやすいのではないだろうか。 なぜならデフレと金融政策や長期経済停滞と金融政策の関係を理解することはそう簡単なことではないからである。
ここまでの議論で、日銀に「金融政策の目標の設定」とその目標達成のための「政策手序策」にこだわる現在の日銀の金融政策で、果たして、2009年現在日本が陥っている、80年もの間前例のなかった大不況から脱出できるのか、という疑問を検討する。 戦後の日銀の金融政策の失敗例を取り上げ、その失敗した原因は、日銀独特の中央銀行理論である「日銀流理論」にあることを明らかにする。
ただし、日銀の金融政策は失敗ばかりしているわけではない。 第2次石油危機をはさんだ1970年代半ばから1980年代半ばまでは、日銀は世界の中央銀行の中でも抜群に良い成績を収めたのである。
その成功の理由は、この期間に限って、日銀はその独特の「総合判断」に基づく裁量的金融政策をやめ、貨幣増加率を重視する金融政策を採用した段選択の決定」の2つに関して、政府からの「独立性」を認めた新日本銀行法に問題があるらしいことが示唆される。 そこで、インフレ目標を採用している国の中央銀行と日銀を比較しながら、日銀をどのように改革すれば、日銀の金融政策に対する国民の理解と信頼が高まるかを検討する。
この検討を通じて、日銀は金融政策の達成目標を暖昧にしたまま「総合判断」という名の裁量で金融政策を運営しているため、国民は日銀の金融政策に対して、真の意味での「説明責任」を求めることができない、という点に問題の根源があることが判明する。 インフレ目標を採用している国では、政府が中央銀行の達成すべきインフレ率を決定するとともに、中央銀行がその目標を達成するために適切な金融政策を取ったかどうかを国民が監視・評価する、ガバナンス(統治)の仕組みが存在する。


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